ALFA ROMEO GTA1300 Junior Gr.5 MONZEGLIO

アルファロメオの熱き血統を継承するツーリングカーレースのチャンピオン、
「モンゼリオ」チューンのGTAジュニア。

2つの世界大戦の以前から、ミラノ生まれのアルファロメオのマシンたちは 幾多のレーシング・フィールドを疾走し、数多くの栄冠に輝いた。 1960年代からはツーリング・カー・レースに参戦。目をみはる活躍をした。
GTA1300ジュニアは、この熱き血統を引き継ぐ1台である。

戦後はツーリング・カー・レースで活躍したアルファロメオ。

アルファロメオの名は常にレース界を疾走していた。第一次大戦以前はタルガ・フローリオなどのロードレースで活躍。さらにミッレミリアでは、第一次大戦と第二次大戦との間に開催された12回のうち10回を制覇。当時のスポーツカー・レースで他車を圧巻した。その一方で、グランプリ・レースにも果敢に挑むなど、アルファロメオはこの時期に黄金期を迎える。
戦後もアルファロメオはこれらのレースで優れた戦績を収めるが、戦前のような圧倒的な強さはなかったという。それまでの僚友、フェラーリが台頭してきたのである。しかし、アルファ・ロメオは別のフィールドで活躍することになる。それがツーリング・カー・レースであった。純粋のレーシングカーではなく、市販車のベースのマシンで競うこのレースで、アルファ・ロメオの高性能マシンは目を見張る活躍を見せた。その血統を継承し、1970年代の初頭に誕生したマシン。それがGTA1300ジュニアである。


アルミボディとショートストローク・ツインカムエンジンを備えたGTAジュニア。

GTA1300ジュニアは1.3リットルクラスのツーリング・カー・レースを制覇するためにつくられたマシンである。アルミ・ボディに1,290ccのツインプラグ・ツインカムエンジンを搭載。さらに78.0mmのボアに67.5mmのショートストローク・ピストンを組み合わせ、ツインプラグ・ヘッドには45mmの大型ツイン・チョーク・ウェバーを装着している。1968年から1972年の間に生産された総数は447台。その内の300台はレース用のコルサ・モデルとして誕生した。

四国自動車博物館に展示されているマシンはグループ5のレーシング・バージョンである。1970年代初頭、アルファロメオのセミ・ワークス的存在だった”モンゼリオ”のチューニングによる1台で、ノーマルのGTAジュニアと違って精悍な顔付きをしている。前後のFRPオーバーフェンダーに加えてボンネット、ドア、トランクもFRP製に仕上げ、エンジンは160馬力以上のパワーを絞り出したと推測できる。
1972年、イタリア国内でのスペシャル・ツーリング・カー・レースの1.3リットルクラスにマリオ・リトリコの操縦で参戦。見事チャンピオンに輝いたマシンそのものである。

 
ツインプラグ・ツインカムエンジン